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利己的な遺伝子 リチャード ・ドーキンス 紀伊国屋書店

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利己的な遺伝子 リチャード ・ドーキンス 紀伊国屋書店

日本では1991年に出版された、あまりにも有名な進化論の著作。
今確認してみたらイギリスでは1976年の出版だった、理系読み物にしては大したタイムラグだと思った。

進化学(進化生物学の方がいいと思うのだが)での、「利己的な遺伝子」とは「すべては遺伝子に組み込まれたプログラム」と言う考え方からの、「自己生存率及び繁殖率を高めるため行動させる遺伝子」と言う意味合いになる。

繁殖率を上げるために結果的に、外形的に利他的行動に見えることがあってもそれを人間の倫理基準で計ってはならないとドーキンスは繰り返す。
人間以外の生物の行動・行為を人間の価値基準で計ってはならないと言うドーキンスの論理は興味深く、名著であることは確かなのだが、著作に中に名指しで他の学者の誹謗が度々登場するのには閉口する。
イギリス人らしいと言えばイギリス人らしいが。というかそれ本筋関係ない的な。
あと、生存機械論で、遺伝子という単語を人間倫理で判断してはならないと言ったそばから「利己的」「利他的」等、概念をミスリードさせるような用語を使っているが訳文の問題かと思いきや中身もそうだった。

人間の行動や感情をすぐ比喩に出すので、読んでいて「あれ?人の情で考えたらいけないと言ってたよな?」と結構混乱する。
この系統の論議はややもすれば誤解を生むのでは?と思ったら、やはり優生学復活の懸念から非難されていた。

さもありなん。(著作として下らないということではない、皮肉と嫌味に耐えられて、論旨を鵜呑みにせず、時代の学説の潮流を把握した上でならやはり読んで損はない本)

  by nashino | 2021-01-22 00:13 | 感想(読書)

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